【長】黎明に輝く女王

 そんな彼が怪しいと思われたのには理由がある。

 一つ、皇女が行方不明となった日を境に自宅への帰りが早くなっていること。
 二つ、自宅に帰った後、どこかへ出かける頻度がふえたこと。

 皇宮内でも直接政治に介入できる元老の一人である彼は、仕事熱心なことでも有名だ。
 皇女賛成派の一人として、これからの新しい国づくりを担おうと意気込んでいた。
 なので、帰宅はいつも夜も更ける遅い時間帯だった。しかし、皇女が消えたあの日は家の用事で早めに帰った。日がまだ暮れていない夕刻ごろに。
 次の日以降も、王宮に参上はしているものの、暗くなる前には必ず姿が消えている。


 では、何をしているのか。
 家の用事、というのは何なのか。

 そこまではっきりとは分かってはいないが、どうも帰宅した後に、馬にのり、どこかに出かけている姿が目撃されている。
 すぐ戻ることもあれば、日がかわってから戻ることもあるそうだが、必ず朝には帰ってくるとか。

 どこに行っているのか。都から隣の州に向かう森へと進んでいることしか情報では得ることができていない。

 目的は隣の州なのか、はたまた森そのものなのか、詳しく知るには、情報収集だけではなく、実際に現場で調べてみる必要がありそうだ。


 これまで調べてきた身辺調査の中ではもっとも怪しい行動を取っている。

 だが、それだけであり、それは決定的な証拠でもなければ、リンド公がなぜそういった行動を取ったのか理由も分からない。
 仮に皇女が消えた事件と関連があるとしても、目的は何なのか。賛成派である彼がなぜ、といった疑問の方が大きかった。