お茶の成分の解析は一時休止した。あれ以上調べていても時間の無駄、何年もかかりそうということが分かったからだ。
あの時悶着があった研究員には自分のいけなかった部分を謝罪し、後々この世界のために共に研究しようということを伝えた。
態度が一変したイリヤに研究員はあいた口がふさがらないような状態であった。まるで別人のようになり変わったイリヤに同一人物なのかとむしろ呆れていたのだが、彼はそれを知らない。
イリヤは王都の詳細な地図やその周辺の地理も調べ、怪しそうな場所がないかなどを調べていた。
はっきりいえば、このようなことは彼の専門外であり、いても大したことはできない。
それでも、彼の熱心な態度や姿勢を周りの者たちはよく見ていた。
今までは王宮にいても、いるのかいないのかよく分からない存在、もしくは皇女と何かしら口げんかしているような存在としか見ていなかった。
なのに、皇女がいなくなったと分かれば、必死になる彼の姿は好印象だったし、そんなにも皇女のことを愛しているのかと実感したのだ。
皇王やその配下の者たち――皇女に対しての賛成派にとって、イリヤは皇女の伴侶であるというのも、暗黙の了解と化してきた。
案外、本人を前にすると素直になれない性格だったりするという噂も流れている。


