【長】黎明に輝く女王

 結局のところ、研究員は役に立たない。あれから動かずにいたかと思えば、眼に少しの涙をためて、捜査室から走って出て行っていまった。

「これは根本的なところから立て直す必要があるな」

 結局、人のいなくなった小さな研究室の一室でイリヤは一人、目的の文書を探していた。


 乱雑に並べられたファイル。中にはとじずに紙が散らばり落ちるものもあった。
 棚一画だけの狭いスペースとはいえ、そこにしまわれたファイルはざっと見積もっても50以上はある。
 その中から目的の数枚を探すのは困難なことのように思えた。時間だけが無駄に過ぎ、気持ちだけが焦ってしまう。

「あぁもう! もっと効率よく調べられる方法はないのか? ここの文書はどうみてもデータベース化もされてないし、検索なんても無理だし……」

 人間の手と目で一つ一つ確認し、でも結局見つからないなんて徒労に終わらなければいいが。

 うまく進まないとき、人は思考も落ち込み、悪い方悪い方ばかり考える。
 この散らかって清潔感のない捜査室ですら、自分の邪魔をしているのではないかと。

 誰もいないその場所で、愚痴をこぼしながら、ファイルを眺めていた。
 もはや集中力なんてなく、ファイルのタイトルやタグを見て大凡の予想を立てながら想いにふけっていた。