【長】黎明に輝く女王

(そもそもの常識が僕のもっているものと違う……。根本的な違いになぜ今まで気付かなかったんだろう)

 世界が違うのだから、当たり前である。
 同じ科学が存在するだけマシだ、そう思わないといけないのだろうか。

(知らないのなら、常識、この世界の知識を学べばいい。それに、ないのなら、作ってしまえばいい)

 はたしてそれが可能なのか。でもイリヤは分かっている。これくらいの道具が作れるのなら、その上のものだって、材料があれば作れる。
 材料さえ調達できれば……。


 このお粗末な機械からは検出できなくても、もっと性能のいい機械ができれば、見つかる可能性はある。
 でも、そこまでの時間も、猶予もない。


「考え方を改める必要があるな、機械を新しくするのではなくて……」


 これまでにないほど頭の中を回転させ、さまざまな思考を張り巡らせていく。
 何か、見落としていることは。常識なんてこの世界では通用しないのだから。
 ……常識が通用しない。もしかしたら。

「これまでの検査方法でひっかからない薬物というものはあったりしない?」
「え? 検査にひっかからない薬物? そのようなものありませんよ。ただ、この世界にはまだ名もつけられていない新しい薬草などはたくさんあります。まだそこまで研究が追いついてないんですよ」

 隣に居た研究員の言葉、それにイリヤは動けなくなってしまった。

「そ、そんなものが存在するの――!?」
「そりゃ、まだまだ科学分野というのは発展途上ですから」