帰り道、王宮に近づくに連れ、変化は目に見えるものになっていた。
 兵士たちの様子が少し、変。

(何かあったようだけど、必死に隠しているような感じだ)

 いつも感じる痛い視線もない。
 小さな変化には敏感になっているから、間違いはないだろう。

 さて、どのようにして中に入ろうかと思っていたら、門番が話しかけてきた。

「セリナ様、今回は随分早いお帰りで!」

 ばれている。騒ぎになってほしくないから、こっそり入ろうと思ったのに。
 そしてあたしの脱走癖に慣れたような物言いに少し苛ついた。

「何か騒がしいからね。で、何があったの」
「あ、いえ何も! どこかの部屋で爆発があっただけです!」

 何も……ではない気がするけど、爆発なんて。
 でも爆発よりも危ないことが起こっている気がする。ただの勘だけど。
「ふぅん、爆発ね……で、それはどこなの?」

 次第に目がぎょろぎょろする兵士、冷や汗が目に見える。

「ちゃんと答えなさいよ。もし間違っていたら」
「わぁあぁ、すみませんウソです? 本当は中庭の一角で異変が起こっているみたいなんです、これはウソじゃありません!」