【長】黎明に輝く女王

「さて、わたしを見てどう思いますか」
「は、あの、えっと?」
「あぁ、綺麗とか、可愛いとか形容詞的な事じゃなくて、直感で何か感じることはあるかってこと」
「……何というか、不思議です。この国で出会った人の中で一番そう思います」

 なんて答えていいか分からないまま、ただ今感じた事を述べた。
 だけど、その答えは、どうやら彼女を満足させるものだったようだ。

「なるほど、なら貴方も不思議よ? わたしがこの国で出会った人の中で一番」

 イリヤはいよいよなんと答えていいのかすら分からなくなってきた。これは試されているのだろうか。
 セリナに相応しい男かどうか、母の眼から見て、ダメと感じたら多分、もうこの世界で生きていけない。


「だから、硬くならなくていいっていったでしょ? 貴方とわたしは一緒なの。秘玉の主ってことでね。それについて話したかったのよ」

 秘玉の主、イリヤがこの世界に来て初めて聞いた言葉がそれだった。ただ、それ以降、セリナと共に過ごしてからはあまり聞いていない。

「なんか、よくわかっていないって感じね、セリナやフロウから聞いていないの?」
「少しだけなら」
「あらそうなの。じゃあわたしが先輩としていろいろ話して上げるわ。それを知ってからセリナと共に生きるか、違う道へ進むか決めたのでいいから」


 そういいながら彼女が指差したのは、胸元。そこには綺麗で大きな首飾りがあった。
 不思議なことに、まるで生きているかのような真珠が散りばめられたそれをイリヤは眺めた。