庵の唇が、菫の唇に触れた。

嬉しくて堪らない想いが
涙となって、菫の頬を伝う。

「すみれ、笑って」

庵の言葉に、菫は両手で涙を
拭い、彼に微笑んでみせた。

その素敵な笑顔を、ずっと
見つめていたい。

庵は、愛しい菫を抱き寄せ
熱い口づけを交わす。

エレベーターが止まり

開くドア・・・

降りたいけれど、降りられない
女性が二人顔を見合わせている

口づけを交わす、二人の邪魔を
してはいけない。

女性達は、閉まるボタンを
押し上階へと戻って行った。
 
二人の口づけは、止まらない。

エレベーターに、乗り込む二人

離れた唇が、奏でる言葉・・・

「好きよ、イオリ
 あなただけを愛してる」