飴色蝶 *Ⅱ*

庵の手が菫の手を、もう二度と
放さない覚悟でしっかりと
握り締めて、夜の街を
並んで歩いて行く。

「ねぇ、カナメさんは
 一緒じゃなくてもいいの?」

「カナメなら、俺の姿を
 見失わないように
 護衛と共に行動し何かあれば
 すぐに駆けつけて来られる
 距離に、必ずいる
 
 だから、すみれは
 何も心配しなくていい
 それに、お前は俺が守る」

私の手を握り締める庵の手・・

その手を、私は以前よりも
逞しく感じるのだった。
 
こんな風に夜の街を、二人きり
で肩を寄せ合って、歩く事が
できるなんて
 
夢のような出来事に、私は
浮かれていた。

いろんな会話を楽しみながら
食事を済ませた二人。

コースの最後、デザートの
バニラアイスを食べている菫。

そんな彼女の傍を離れる事なく
庵は携帯電話を取り出し
要に連絡を取った。

その内容は、車で店の前まで
迎えに来てほしいという事
だった。

「ああ、もうすぐ出る
 店の前に、車を頼む」