飴色蝶 *Ⅱ*

「スミレ、こんなところで
 あなたに会うなんて
 これから、仕事なの?」

職場へ向かう為、駅の
プラットホームに降り立った
私に、キャリーバックを
押しながら麻子が近づく。

「私は、これから
 お店の子達と旅行なの」

「そうなの、いいね
 楽しんで来てね
 じゃあ」

麻子は、その場から立ち去る
菫を呼び止めた。

「スミレ、あなたとイオリ
 付き合って
 いるんでしょう?」

菫は、どう答えるべきか・・・

「私には隠さなくてもいいわよ
 前に言ったでしょう
 イオリはスミレが好きだって
 ・・・
 あなた達、喧嘩でも
 しているの?
 この間、私の勤める店で、彼
 あなたによく似た女性を
 抱きしめて
 あなたの名前を呼んでたわ
 ・・・・・・」

『すみれ、逢いたかった』