飴色蝶 *Ⅱ*

「話はここまでだ
 お前と分かり合うことは   
 できない・・・
 
 最後に、すみれには
 二度と近づくな」

そう言って、要と共にその場所
を去ろうとした庵に、彼は言う

「もう、貴方の恋人でもない
 彼女をどうしようが私の自由
 だ、彼女と交わした口づけを
 抱きしめた感触を、俺は
 忘れる事ができない
   
 あの白い肌に触れた喜び
 彼女の甘い喘ぎ声を
 スミレは俺の・・・」

庵は、新に殴りかかる
その怒りは凄まじく
新を何度も殴り続ける。

止めに入った要さえも
巻き添えに成る程に
庵の怒りは収まらない。

「親父、それ以上は・・・」

庵に殴られて、血だらけの
新は言う。

「彼女が何の為に、貴方と
 別れたと思いますか?
 彼女は、あなたのことを
 思って・・・別れた」

「俺のことを思って・・・
 どういう事だ」