朝を知らせる、目覚まし時計
の音が響く。
 
目覚めた私の隣には、寝返り
を打ち、すやすやと眠る

貴方がいる。

庵を起こさないように、音に
注意しながら寝室のドアを閉め
キッチンへ向かう。 

それから三十分後、一人分の
朝食を作り終えた菫は食卓に
並べる。

そして時間を見て、カップに
コーヒーを注ぐ。

「おはよう」

「おはよう」

その声は庵、彼はパジャマ姿の
ままで食卓の椅子に腰掛けると
両手で顔を覆い

その手を滑らせ、額に掛かる髪
を掻き揚げる。

珈琲を淹れた熱いカップを
朝食を摂らない、庵の前
テーブルに置く。

「イオリ、コーヒー、熱いよ」

「ああ、ありがとう」