会澤組の事務所を後にした二人
は、肩を並べて後部座席に座る

要の隣で黙ったままの庵は
事が大きくならずに解決して
良かったとの想いから
ほっと息をついた。

「何事もなく済んで良かった
 ですよ
 俺は、三代目が撃たれたもの
 と思い発狂して変な汗が
 出ましたよ
 それにしても、お二人は
 いつから空砲だと気がついて
 いたんですか?」

若衆の問いかけに答える庵。

「気づくも何も、俺だって
『撃たれた、これで終わる』
 そう思いながら、目を閉じた
 けど、数秒立っても全く痛み
 がなく、血の匂いもしない
 あれ?って思ったよ」

「確かに親父
 そんな顔してましたよ」

笑い合う三人。

「本当に、貴方が無事で
 良かった
 貴方に何かあれば
 スミレさんに・・・親父?
 ここに居ると言うことは
 その、スミレさんとはもう
 ・・・・・・」