飴色蝶 *Ⅱ*

背に光を受けて、貴方は
振り返る。

「シュリ、今日だけでいい
 親父が倒れた事を組の連中
 には伏せておいてくれ」

朱莉は、頷いた。

親父の威厳で組は今、何とか
落ち着いている。

できるだけ、抗争は控えた方
がいい。

待たせてあった車に
乗り込む庵。

「会澤組まで行ってくれ」

「三代目、これからですが?
 それは・・・」

「皆には、親父が倒れた事は
 もちろん、俺が会澤組へ
 乗り込む事も黙ってろ
 お前は、俺を降ろした後
 どこかで時間を潰してから
 事務所へ帰れ」

「いえっ、私も極道の端くれ
 三代目、あなたと共に
 行きます
 行かせてください」

「勝手にしろ」

庵は、時間を知る為に携帯電話
を取り出し見つめた。