飴色蝶 *Ⅱ*

「イオリ、行くの?」

「ああ、シュリ、親父の事
 を頼む」

歩き出す庵の後姿を

見つめる朱莉。

彼を止める事は・・・できない

朝日が容赦なく

貴方に降り注ぐ・・・・・・

『貴方を忘れる』
 
愛して止まない、あなたを・・

カーテンを開けた菫にも、燦燦
と光が降り注ぐ。
 
彼女は、淀んだ部屋の空気を
追い払うべく窓を開けた。
 
部屋中に、強い風が一度だけ
吹き荒れたかと思うと

その風と共に

あなたが現われた。

いつかの蝶々が

また迷い込んできた。