飴色蝶 *Ⅱ*

・・・朝が来る

処置が早かった為に、正二の
症状は点滴で何とか治まって
くれた。

喘息という病気がこんなにも
こわいものだという事を庵は
初めて知った。

そして初めて見る

父親の寝顔。

さっきまでの彼からは
信じられない程
疲れた面持ちだった。 

これが、本当のあなた・・・

そこへ、上はパジャマに
下はジーンズ姿。

もちろん、化粧などしていない
朱莉が慌てた様子で現われた。

庵の傍で、彼の無事を知って
ホッと、安堵している。

「無事で、よかった」

正二の容態は重く、しばらくは
入院が必要になる。

庵は、正二の眠るベッドの傍に
付いて彼の手を握り、見つめる
朱莉の姿を見て安心して
この病院を出て行こうとした。