飴色蝶 *Ⅱ*

「イオリ、もう組には一切
 関わるな
 ゴホッ・・・
 お前を、極道にした張本人の
 私が、こんなことを言うのは
 おかしいだろうが
 ゴホッゴホッ」
 
息をする事が困難な様子の正二

「先代、大丈夫ですか?
 苦しいですか」

「持病の喘息だ、何年も
 治まっていたんだが
 ここ最近、思い出したように
 朝方に、よく発作が出るんだ
 心配はいらない、慣れている
 ゴホッ・・・」

深呼吸をする正二の横顔は
とても辛そうだった。

「イオリ・・・」

「もう、話さない方が・・・」

「お前には幸せになって
 ほしい」

重なる、二人の声は

とても似ている。
 
「ゴホッゴホッ・・・ゴホッ」

「父さん、父さん」

痰を切ることのできない正二は
息苦しさに顔色がどんどん
青褪めていく。

「どこでもいい、早く病院へ」