菫の言葉に、庵の心は凍りつく

菫に触れる事なく、庵は

その手を下ろした。

「貴方がどこへ行くのか
 私には分からない
 それは、とても重要な出来事
 なのかもしれない
 だけど・・行かないでほしい
 
 イオリ、お願い
 
 一緒に帰ろう」

菫の不安な表情を見つめる
庵の胸は張り裂けそうに傷む。

要は、深い声で言う。

「親父、貴方は極道をやめた
 人間、例え、この一件に
 貴方が関わっていたとしても
 堅気の貴方と、行動を
 共にする訳にはいかない 
 貴方には、守るべき人がいる
 それを間違えてはいけない」

要は庵の傍へ近寄り
耳元で言う

「後の事は俺に任せてください
 ホソヤを見殺しにはしない
 ・・・・・・行くぞ」

要は、若衆と共に走り去る。