汚れた作業服を身に纏う
庵の腕を掴み、瞳を潤ませて
見つめるのは、巴だった。

庵は驚く、昔の彼女の面影は
無く痩せた頬に、細すぎる腕。

歩く事がやっとの、今にも
折れてしまいそうに細い足。

まるで別人のような彼女に

庵は戸惑う。

「トモエ・・・
 お前、こんなに痩せて」

「やっと、あなたに逢えた」

庵を見つめて微笑む巴を
抱きしめてやりたい衝動に
駆られた庵だったが

それは愛ではなく

ただの同情に過ぎない。

彼女に期待させてはいけない。

庵は、自分の腕を掴む巴の手を
以前のように、振り払おうと
したが・・・

その手を止める。

人形のように

壊れてしまいそうに細い腕。