そして、優しく、そっと優しく
菫を抱き寄せる。

「カイリが居るのに、こんな事
 思うのは、母親失格かも
 しれない、だけど
 どんなに不幸になっても
 貴方の傍にいたいよ」

貴方の傍にいたい・・・

同じ時を刻みたい・・・

庵は無我夢中で菫を抱きしめた

この体が

貴方のものなのか

私のものなのか

分からなくなるほどに強く
抱きしめて。

「もっと、つよく
 ・・・抱きしめて」

庵の両腕が、華奢な菫の体を
包み、ぎゅっと締め付けて抱く

菫の涙が、庵のシャツに
滲み込んで行く。

菫、あなたを泣かせたくない。
 
「俺の傍にいろ」

菫は、黙ったまま頷いた。