飴色蝶 *Ⅱ*

「何だ、その話なら
 もう分かってるよ
 いつ、ここを出て行く?
 
 お金の事なら心配しないで
 前にも話したけれど、貴方が
 預けてくれたお金は、まだ
 半分残っている
 
 それに少ないけれど私の貯金
 を合わせれば、当分は三人で
 生活できるわ、大丈夫」

「すみれ、それで本当にいいの
 か?お前は、好きな仕事を
 辞める事になり
 かいりは友達と別れ、学校を
 転校しなければならない
 俺と共に行動すれば、生活は
 一変する

 新しい場所で新しい生活が
 始まったとしても、そこから
 また、逃げ出さなければなら
 ない時が来るかもしれない
 堅気になっても、俺は追われ
 る身、俺に自由は無い
 お前達を危険な目に合わせた
 くない」

菫は、悲痛な表情を浮かべて
庵を見つめた。