飴色蝶 *Ⅱ*

「しかし、お前が娑婆に出て
 来ているという事になれば
 話は別、会澤組は、お前を
 放っておいてはくれない
 だろう、かと言って
 組から離脱した、お前の命を
 高月組、組員が総出で
 四六時中、守る事はできない
 いづれ、この場所も・・・」

庵は、何もかも承知している
表情で、正二を真っ直ぐに
見つめて言う。

「親父、分かっています
 この場所に、そう長くは
 居られない事を
 俺も、すみれも・・・」

いつか、この場所から
離れなければならない。

この街にはもう、俺の居場所
は無い。

すみれ・・・ごめんな。

お前がこの場所で築き上げて
きたもの全てを、俺は奪って
しまう。

それでいいのだろうか?
 
楽しいひと時は過ぎ、正二と
朱莉は仲良く帰って行った。