飴色蝶 *Ⅱ*

それぞれの心に

同じ時を刻んで行く。

彼女を愛していた庵ごと
私は、貴方を愛している。
 
浬が学校から戻る前に、菫と
朱莉の二人は夕食の買い物に
出かけた。

「スミレちゃん、聞いて・・・
 私はもう、イオリを
 愛していない
 今日、彼に会って、それが
 分かったの、だから
 どうか心配しないで」

「シュリさん、私は何も心配
 していません
 あなたが、お父さんを心から
 愛している事
 私は、知っているもの」

朱莉と菫は、微笑み合う。

庵が刑務所に入り、逢う事が
できなくて辛い日々を送る

菫の寂しい思いを近くに居て
一番に理解してくれた人は朱莉

菫は、朱莉に
心から感謝している。

二人が戻るまでの間、この
静かな部屋に親子水入らず

何を話せばいいものか・・・

静かな時が流れた。