飴色蝶 *Ⅱ*

庵は辺りを見渡しながら
初めて知る、菫と浬の二人が
暮らす空間に、ほっと
安らぎを感じるのだった。

気を利かせてくれた雪乃の
おかげで、浬に聞かれたくない
話も、話す事ができた。

仮釈放となった庵は保護監察官
保護司の生活指導の元、社会に
出て、犯罪を深く反省し更生に
努めていく事になる。

「仮釈放だなんて
 私、何も知らなくて
 教えてくれれば迎えに
 行ったのに・・・
 さっき、ここまで
 送って来てくれた人
 あの人は確か、高月組の
 ・・・・・・」

「ああ、組の若衆だ」

菫は庵の手を取り、指を
絡ませて繋ぐ。

この手が、もう二度と放れない
ようにと強く強く、握り締めた

その手から、菫の不安な想いを
感じ取った庵は、強く繋いだ
彼女の手の甲にキスをした後
菫を見つめて告げる。

「すみれ、心配しなくてもいい
 俺は、組を離脱した人間だ
 もう二度と組には戻らない」