飴色蝶 *Ⅱ*

「うん
 明日の夜にでも顔出すね
 おやすみなさい」

「ミキちゃん、バイバイ」

「おやすみ
 カイリ、早く寝ろよ
 バイバイ」

鍵が見当たらない菫は一番奥の
部屋の前で鞄の中をゴソゴソ
探している。
 
「おかしいなぁ
 さっきまでここに
 あっ・・・」

上着のポケットに手を入れると
指に鍵が触れた。

その時、幹生の部屋の
ドアが開いた。

「ミキちゃん
 帰って来ないと思った」

その声は、雪乃の声だった。

幹生の腕に抱きつき甘える
彼女は、いつもの雪乃からは
考えられない程に可愛らしくて

それが、彼にしか見せない
本当の雪乃の姿なのだろう
と、私は思った。