「お兄ちゃん・・・
 私ね、やっと気づいたの
 私は、お兄ちゃんを愛してる
 今すぐ逢いたい、あなたに」 

花夜子は電話を切った後
慌てて、会澤と暮らす家を
出て行った。

彼女を彼の元へ案内するか
のように、一頭の蝶々が
ヒラヒラ、ユラユラと舞う。

話を聞いた庵は、呟く・・・

「あなたに・・・」

「そう、会澤は
 勘違いしたんだろう
 カヤコは、俺に愛していると
 言ったんだ
 
 アイツは、兄貴の事を絶対に
 お兄ちゃんとは呼ばない
 
 俺は、後先考えずにカヤコを
 抱いた
 
 そして、カヤコを傷つけ
 俺の前からアイツは消えた」

正二は、庵を見つめて言う。