飴色蝶 *Ⅱ*

「ありがとう、カイリ」

私は、この腕に幼いわが子を
抱きしめた。

イオリ・・

私の頬を流れるこの涙は

貴方に早く逢いたい・・・
 
ただ、その想いからだけで
流れているんじゃないよ。

私は、この六年間を必死に
生きて来た。

初めての子育てと仕事の両立で
休む間もなく目まぐるしい日々
を送っていた

私の心身はクタクタになり
挫けそうな夜も、気だるい朝も
がんばるという気力だけで体を
奮い立たせ、立ち止まらずに
前だけを見つめて、今まで
生きて来た。

「一、二、三、四、五、六」

こうやって、数は簡単に数えて
しまえるけれど

私が歩んで来た過去の年月は

軽快なリズムにのって

読み上げられるような

そんな薄っぺらいものでは無い

もっと、濃く

・・・もっと、重い。