飴色蝶 *Ⅱ*

「パパは、いつくるの?」

「いつも、話しているでしょう
 パパはお仕事で、ずっと遠く
 にいて、今は、逢う事は
 できないの
 
 カイリが、十歳になったら
 逢えるのよ」

浬は、一本ずつ指を

出しながら数える。

「いち、に、さん
 よん、ご・・・」

五本の小さな指・・・
 
「まだ、これだけだよ
 はやく、パパにあいたい
 ねぇママ、パパにあいたい」

浬の言葉は、菫の心を貫く。

「ママ?どこかいたいの」

庵、貴方を想わない日は

たったの一日も無い。
 
菫の頬に流れる涙・・・

浬は、菫の頭を優しく撫でる。