飴色蝶 *Ⅱ*

「トウマ、帰ったか?」

「お勤め
 ご苦労だったな」

「親父・・・
 先代まで、俺なんかの為に
 お出迎え
 ありがとうございます」

深く頭を下げた透馬は、麻子の
肩を抱きながら玄関の傍に立つ
菫へと近寄る。

そして彼女の前でもう一度
深く頭を下げた。

「トウマさん
 お勤め、ご苦労様でした」
 
そう言って、微笑む菫の姿は
以前と何ひとつ変わらない。

「お変わりないようで
 安心しました」

透馬は、菫の後ろに男の子が
一人隠れている事に気がつく

透馬と寄り添う麻子が
手招きをする。

「カイ、おいで」