飴色蝶 *Ⅱ*

「何も無かったって聞いたら
 お腹空いちゃった
 確か、シュリさんが・・・」

「すみれ」

「イオリも
 お腹空いたでしょう?
 何か、作るね」
  
菫は、急いでキッチンへと
向かう。

庵は、ジャケットを身に纏い
一度、深呼吸をした後
菫の元へ歩み寄り、冷蔵庫に
手をかけた

彼女に言う。
    
「すみれ、もう少しだけ
 話をしよう」

「ええ、何?」

「俺は殺人を犯し、服役期間は
 何年になるか分からない
 俺が刑務所に入っている間
 お前は、お前の思うように
 生きてくれて構わない
 俺との約束に縛られる事は
 ない、俺の他に、好きな奴が
 できたら迷わずにその胸に
 飛び込んで幸せに・・・
 
 すみれ、聞いてるのか?」

冷蔵庫の扉を開いたまま
菫は動かない。

「そんな話、聞きたくない」