飴色蝶 *Ⅱ*

「愛の無い行為に意味は無い」

菫の瞳から、涙が零れ落ちた。

「貴方と彼女は何も無かった」
 
「ああ、だけど
 何も無かったとはいえ
 傍にいて欲しいと願う彼女の
 隣で俺は夜を過した事に
 変わりは無い
 
 それは、お前を裏切った事に
 なる、それに、お前以外
 抱かないと言いながら 
 俺は彼女を抱こうとした
 こんな俺を、お前は・・・」
 
何も、無かった・・・

その言葉を

ずっと聞きたかった。

菫は、庵の肩に両腕を回して
抱きつき耳元で言う。

「早く言ってよ・・・バカ
 ・・・・・・
 お願い、イオリ
 誰のものにもならないで
 貴方は私だけのものでいて」