飴色蝶 *Ⅱ*

『お前に全てを話す
 だから、聞いてくれ』

私は、最後まで聞かなきゃ
いけない。

菫は、庵の声を聞きながら
太股の上で組んだ手を
握り締める。

その組まれた手を、庵は
大きな手で包む。
 
「俺に対し、敵意を剥き出しに
 して激怒する父親の姿を見た
 彼女は、俺を守りたいと思い
 その為ならば、命を捨てても
 かまわないと言う
   
 父親の敵であるこの俺の為に
 ・・・・・・
 その思いだけで突っ走る彼女
 を、俺は、どうしても
 止めたかった
   
 もう、俺の為に誰かが死ぬの
 を見たくない、だから彼女を
 守る為に、彼女の望みを
 受け入れる事にした」

「彼女の望み
 それは、イオリ・・・」

「ああ
 俺が彼女を抱けば
 彼女は俺の事を
 諦めてくれると言った」

沈黙が流れる・・・