飴色蝶 *Ⅱ*

これでいい・・・

鍵の閉められたドア

脱がれたブーツ

庵は近づく、眠る菫の元へ・・

ソファーに眠る彼女は、とても
綺麗で触れる事が許されない
ような気がした。

菫の唇の端、青い痣が
できている。

庵の長い指先が、そっと
菫の唇に触れた。

そして、庵は菫の頭を優しく
撫でる。

この優しい手の感触は
目を覚ました菫の瞳に
覗き込む庵の姿が映る。

「これは、夢の続き?」

庵は、ソファーの横に膝をつき
菫の唇に、そっと、優しく
キスをした。

菫の瞳から涙が溢れ、耳元へと
流れていく。

これは現実。

貴方は、生きている。