飴色蝶 *Ⅱ*

朱莉は涙を拭い、庵を真っ直ぐ
に見つめて力強く言う。

「スミレちゃんと
 お腹の赤ちゃんの事は
 私に任せなさい
 二人を絶対に、路頭に
 迷わせたりはしないから」

「すまない、頼む」

菫の待つ部屋へと、足を少し
引きずり歩いて行く、庵の後姿
を朱莉は見送る。

動き出す、車。

本当にこれでいいのだろうか?

朱莉の隣で、新は黙ったまま
悩み続ける。

自分の犯した罪を、庵に
背負わせ、何の罰も受けずに
のうのうと生きていく・・・

菫が、悲しむ。

『それでいいのか?』

そう、心の中で自問自答する。

そんな新に、要は言う。

「ホソヤ、もう
 考えるのは止せ
 これでいいんだ」