飴色蝶 *Ⅱ*

朱莉は、見慣れない車の傍に
近づくと車を覗き込み

愛する人の姿を探す。

そして彼女は、ほっと息をつく

車から降りた庵は、朱莉の傍に
立つ。

庵の傷ついた痛々しい顔に
触れようとして伸ばした左手を
朱莉は自分の胸元へ戻した。

菫よりも先に、庵に触れては
いけないような気がした。
 
「イオリ、無事で良かっ・・」

庵は、朱莉をそっと抱き寄せた

「シュリ、ありがとう
 おまえには、感謝している
 これからも、すみれの話相手
 になってやってくれ
 俺は当分、あいつの傍に
 居てやる事ができない」

庵は朱莉から離れ

彼女を見つめた。

「そう、やっぱり
 貴方が・・・」

「ああ、俺が会澤組長を殺した
 明日、出頭する」