飴色蝶 *Ⅱ*

透馬は、ハンドルから
左手を離し中指を立てて
座席から覗いて笑って見せた。

庵は苦笑して、低い声で答えた

「ファック・・・ユー」

「大丈夫です」
 
四人は、笑い合う。

つまらない事で笑うことの

できる今・・・
 
俺達は生きている。
   
「痛っ」

「親父、少し眠った方が
 いいです」

庵は、目蓋を閉じた。

菫・・・

俺は、お前に逢うのが怖い。

お前を、泣かせたくはない。

それなのに・・・

すみれ・・・

早く、お前に逢って

お前に触れたい、俺がいる。