飴色蝶 *Ⅱ*

会澤組本部事務所内は、壮烈な
抗争の後が伺える。

彼らは、その場所を後にした。

「トウマ、とりあえず、先代の
 主治医のいる病院へと
 向かってくれ
 まずは、撃たれた怪我の治療
 をしない事には傷口に細菌が
 入って、化膿でもしたら厄介
 だからな、急いでくれ」
  
「はい」
 
車内は、重苦しい空気が
流れ沈黙が続く。

会澤組との乱闘に、要の体も
ひどく疲れていた。

静まる車内、そんな中
ムードメーカーでひょうきんな
透馬は、彼自身も疲れている
はずなのに

この沈黙に耐え切れず、場の
空気が少しでも和めばと
運転をしながら

庵に、こう告げた。

「親父、意識は
 しっかりしていますか?
 これは、何本に見えます?」