飴色蝶 *Ⅱ*

両脇を男達に抱えられながら
庵は何が何だか?

「お前達、いったい
 何を考えている?
 こんな事をしても・・・」
   
「怪我人は黙って俺達に従え
 ・・・・・・
 伝えたい想いは、スミレに
 逢って直接、お前の言葉で
 お前の声で
 伝えてやるんだな」

新の言葉に続くのは、要。   

「親父、出頭はスミレさんに
 逢ってからでも遅くは
 ありません
 今夜だけは彼女の傍に居て
 あげてください」

菫・・・

お前に逢う事が

俺は、少し怖い。

透馬の運転で車は走り出し
庵は、後部座席に深く身を沈めて
サイドガラスから見える
雨上がりの空を黙って
見つめていた。

パトカーのサイレンの音
赤色灯から、どんどん
離れて行く車。