そして、今まさに息絶えようと
している父親へと、ゆっくりと
歩み寄る。
 
現場に居合わせた、武器を
持たない会澤組の構成員達は
ただ目の前で繰り広げられる
光景を、見つめることしか
できなかった。

「ごめん、父さん・・・
 わたしは、やっぱり
 あなたを許せなかった」

「アラタ、これでいいんだ
 これで・・・」

それだけ言い残して会澤は
静かに目蓋を閉じた。

もう、二度と開く事は無い。

新の瞳から、一粒の涙が流れ
頬を伝う。
 
憎んでいたはずなのに・・・
  
どうして、こんなにも

悲しいのだろう?
 
自分が仕出かしてしまった事
の重大さに、新は震えた。