飴色蝶 *Ⅱ*

庵は、白けた顔でため息を
ついたかと思うと、右側の
口角を上げて微笑する。

「ホソヤ、お前
 何か勘違いしてないか?
 お前の敵は俺のはず
 そんな男に、銃を渡すなんて
 お前は、馬鹿か?
 
 まあ、そんな事は、この際
 どうでもいい」

「タカツキ」

狂気を含んだ瞳で、睨みつける
庵は牙を剥く。

「今すぐ、銃を捨てるんだな
 さもないと、お前を殺す」

瞬きをする事も無く、獲物を
捕らえて放さない瞳。

命など、惜しくは無い。

それなのに、銃を握る手が
震えるのは何故?

悪魔に魅入られた

わたしは思うのだった。

『早く、この銃を捨てて
 
 彼に、命乞いを・・・』