飴色蝶 *Ⅱ*

『イオリは
 大丈夫なんでしょうか?』 

私は、あの日と同じように

朱莉に、不安な想いを
問いかけた。 
   
「イオリは、絶対に
 愛する人を残して
 死んだりしない
 
 必ず、あなたの元へ
 帰ってくる」

運転をしながら朱莉は
きっぱりと、そう言い切る
のだった。

彼女の言葉が、私の心に届く

彼女の言葉なら、信じること
ができる。 

彼女の横顔は、気丈に振舞って
はいたが、ハンドルを握る手が
小刻みに震えていた。

私達は、同じ人を愛している。

何て、鈍感な・・・私。