飴色蝶 *Ⅱ*

父親と同じように

憎しみに駆られて、銃を握る新

親を殺すなんて、絶対に遭って
はならない。

どんな事をしても

新を止めなければ・・・

朱莉の運転する車の
フロントガラスに空から
落ちた一粒の、雨の雫。

「雨・・・」

朱莉の声が、雨が降ってきた
事を知らせる。
  
ガラスの上を、スーッと滴り
落ちる雫を菫は見つめていた。

次第に、雨は激しくなり
車内に雨音が響いたと思うと
ワイパーが左右に動き出し
単調なリズムを刻む。
  
俯いた菫は、雨音とワイパー
の音に掻き消されてしまう程
に、小さな声で言う。
    
「イオリは、死ぬの?」

菫の太股の上に組まれた手に
ポタポタと、涙が落ちた。