菫の微かな声を、傍で聞いた
新は、決心する。
 
新に連れられて、ドアの前に
立つ菫に彼は言う

「あなたとは
 ここで、さよならです
 ドアが開いたら振り返らずに
 前だけを見て、走って事務所
 を出て行きなさい
 分かりましたね
 彼の命は必ず、私が守る」
 
「アラタさん?」

ドアが、ゆっくりと開く。
 
「女は解放する、指一本
 触れるな、さあ、走って」
   
新が、菫の背中を押すと彼女は
男達の間を擦り抜け、出口へと
走り去る。

ドアが閉まる。

「邪魔者はいなくなった
 そろそろ
 お前の命をもらおうか
 ・・・・・・
 アラタ、本気なのか?」

新は、銃口の先を父親である
会澤組長の背に当てた。

出口の扉を開いた菫の、目の前
に広がる世界・・・

事務所の前に倒れる男達。
 
そして、要を先頭に、高月組の
組員達が立つ。