飴色蝶 *Ⅱ*

「さあ、行こう
 ここから早く逃げるんだ」
  
ドアの前で、菫は立ち止まる。

「どうした、早くしないか」

菫は新を見つめて、首を
左右に振った。
 
「イオリが来ているんでしょう
 さっき、組の人達が話して
 いるのを聞いたの
 彼のところへ連れて行って」

「駄目だ、奴の事なら心配
 しなくていい
 俺が必ず助け出して
 お前の元へ連れて行ってやる
 だから・・・」

菫は、新に深く頭を下げた。

「お願いします、アラタさん
 今すぐ、イオリに逢いたい」

新は、菫の手を取り向かう。
 
庵のいる場所へ・・・

溢れる程にたくさんの、会澤組
構成員達が、ひとつの扉の前で
中の様子を伺いながら

会澤組長に万が一、何かあれば
いつでも、突入できるように
待機していた。