飴色蝶 *Ⅱ*

庵の勢いを止める為に、彼の
手を縛り、殴る蹴るの暴行を
加える会澤組、構成員達。

ドアが開き、庵の前へ現われた
会澤組長。

構成員の一人が、殴られて意識
が朦朧(もうろう)とする
庵の顔に、水を浴びせた。

咳き込みながら、目を覚ます庵

吐き捨てる唾に血が混じる。

「お前ら、手を縛られて
 動けない奴相手によくも
 ここまで惨い事をしたものだ
 綺麗な顔が台無しじゃないか

 それにしても、本当に
 ここにいるのは
 あの、高月組三代目組長
 なのかね
 
 私の誘いを蹴り、伊納組と
 手を結び、この私を
 見縊(みくび)ったあの威勢
 は、いったいどこへ・・・
 女一人の為に見る影も無く
 無惨なものよ」

「・・・・・・
 すみれは、どこにいる」

さっきまでとは違う、怒りに
満ちた表情で、庵は会澤を
見つめた。