巴の心は、深く傷つき

愛する人に捨てられた彼女は
 
人を信じる事ができなくなり

誰も愛せなくなってしまった。

「アラタ・・・兄さん
 ここへ、あなたが来るなんて
 あの日以来ね」

「ああ、そうだな
 この部屋は、あの日と
 何ひとつ変わっていない・・
 
 トモエ、昨日から何も食べて
 ないらしいな
 そんなに、タカツキ イオリ
 奴の事が心配なのか?」

「お父さんから、聞いたのね」

「ああ・・・トモエ
 タカツキと、付き合っている
 と言う話は嘘だな
 アイツには大事な女がいる」

「アラタ、あなたは、何でも
 お見通しなのね
 ええ、私が、イオリに
 付き纏っているだけで
 彼とは、何の関係も無い
   
 どんなに、私が望んでも
 彼が私に触れる事は無い
 どんなに、彼を想っても
 彼の心にはあの人しか
 ・・・住めない」