飴色蝶 *Ⅱ*

話したいけれど、話せない・・

何故なら菫は、見知らぬ男達に
腕を掴まれ、そのうちの一人に
口を塞がれていた。

そして、もう一人の男は菫から
携帯電話を取り上げる。

何も話せない菫。

男は、携帯電話で庵の声を
聞いている。
 
「すみれ、何か話して」

男が、菫の耳元で小声で囁いた

「三代目に、助けてと言え」
 
男の手が、口元から放れた。
 
「イオリ、た・・・」

私は、助けてという言葉を
飲み込んだ。

庵に助けを求めたら、彼らの
思う壺だ。

「すみれ、どうした?」

菫の、声色が変わる。

荒々しく刺を持つその声は言う

「馴れ馴れしく、私の名前を
 呼ばないで
 私達、別れたはずでしょう
 貴方には、私よりも大切な人
 がいる」

菫の、『別れた』という言葉に
顔を見合わせる男達。