飴色蝶 *Ⅱ*

庵が、家に居るとは限らない。

だけど

じっとしてはいられない。

菫は、駆ける・・・

彼女へと伸びる・・・複数の手

庵の住むマンションの前に
到着した菫は、携帯電話を
手に持ち、もう一度

彼に、電話をかけてみた。

プルプルプル・・・

さっきと違う音が聞こえる。

「もしもし、すみれ?」

携帯から、聞こえる貴方の声。

大好きな声。

「すみれ?」

私の名を呼ぶ庵の声に

彼の無事が分かり

私は、ほっと息をついた。

その時、二人の男性が現われ

菫の左右の腕をそれぞれに掴む

「今、どこにいる?」