飴色蝶 *Ⅱ*

少し離れた場所で、庵の行動の
全てを監視する、会澤組の
構成員達。

「はい、三代目は、今
 出かけました
 車を一台、尾行させています
 はい、それでは私はこのまま
 ここで、待機しています」

何かが起こる前の、静けさの中

あの、空に浮かぶ雲のように

ゆっくりと時は流れる・・・

「無事に着いて良かったぁ」

初めて、一人で電車を利用して
庵の住む最寄駅に到着した菫は
彼の家へと続く道のりを
早足に歩く。

そこが、危険な場所であると
いう事を忘れ

一歩一歩、近づいて行く。

庵に逢いたい

彼が無事なのか確かめたい。
 
その想いだけが、菫の心を縛る

冷静になって少し考えれば
今は、危険な時
 
こんな場所に

来るべきではない事ぐらい

分かるはずなのに・・・