飴色蝶 *Ⅱ*

来た道を引き返す菫、その足は
次第に速くなる。
 
私、何やってるんだろう。
  
イオリと喧嘩なんかして

『許せない』
 
そんな重い言葉を、考え無しに
彼に、伝えてしまった。

いつも危険と隣り合わせの貴方

貴方の身に何かあれば

私には後悔しか残らない。

その頃、菫の他にも一人
繋がらない電話に不安になり

着の身、着のままで慌てて
庵の家へ車を飛ばして来た
人物がいた、要だ。

彼の髪はボサボサ、ジャケット
の中にはジャージの上下を着用
して、いつものスーツ姿で
パリッとかっこよく極めている
彼は、どこにもいない

そのギャップに驚いた庵は
思わず噴出してしまう。