遥か遠い昔

自分が敵わなかった相手
 
一夜から受けた屈辱の数々
惨めな思い

その全てが刃となり、庵に
向けられる。

「一刻も早く、ここへ奴の
 大切な女を連れて来い」

その話を帰宅したばかりの巴
は、ドアの前で偶然に
聞いてしまう。

巴は、父親である会澤組長に
ばれない様に自分の部屋へと
戻り

この件を早く庵に知らせる為に
携帯電話を手に持ち、彼の番号
へと電話をかけた。

しかし、庵の携帯電話は
繋がらない。
 
「早く繋がって、お願い」

そこへ組員から、巴が帰って
来たと知らせを聞いた会澤組長
がノックもせずに現われた。

「トモエ
 誰に電話をかけている?
 取り上げろ」

組長の命令に従い、組員が巴
から携帯電話を取り上げた。